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「思いっきり笑いたい」ただそれだけ

【監督&脚本】ソン・ヘソン 
【出演】ソル・ギョング、中谷美紀、藤竜也、萩原聖人 

俺は、信念を決して曲げない。
思うように生きるだけだ。
ヒーローは2人はいらない。
この俺一人で十分なんだ。



戦後直後の日本を生きた人、高度経済成長期を生きた人、そんな時代を知らない若い人…。
昭和、そして平成に生まれた日本人は、みんな観るべき映画。

1975年生まれの私にとって、第二次世界大戦後の日本の空気と日本人が醸し出す雰囲気は、想像の域を越えない。
連合国軍に負けた大日本帝国。欧米を恐れ、弱気になった日本人。
自尊心、誇り、愛国心……、それまで連綿と伝え続け、持ち続けた様々な日本の美学はどこへ?

日本人から差別を受けてきた朝鮮人の力道山(ソル)。
故に、実力がありながらも角界での成功は不可能だと諦め、日本ではまだ知られていないプロレスで成り上がろうと決意する。
「私の知っている日本人はどこへ行った!!」
「リングで外国人を打ち負かし、日本の子供達に勇気と力を与えたい」
反対する興行主たちを説得する力道山。

この言葉、嘘ではない。
だが、本心でもない。
本当の彼の心、それは「思いっきり笑うこと」なのだ。
朝鮮人ゆえに、笑うことさえ許されなかった人生。
「朝鮮人のくせに何を笑っている?」そう蔑まされた時代。
思いっきり笑うことを許される地位と名誉を手に入れる、そのための転向。そして、苦しいアメリカ修行なのだ。
祖国を愛していながらも、生きている間は自分の出自は決して明かさなかったーー。

そんな力道山の行動力と信念、そして陰に描かれる愛国心がとにかく凄まじいインパクト!
それゆえ周囲の人々とぶつかり、恨まれる悲しい運命を抱き続けた。
遂には、自分以外は誰も信じられない不信感という悪魔に纏わりつかれてしまう。
破天荒なヒーロー力道山を演じたソルが、これまた役者として凄まじい!!
体重を増やし、台詞はほとんど日本語!

試合シーンや街中の描写も、美術の素晴らしさが際立っている。
当時を知らない私はリアルに感じられ、知っている人は懐かしく思うのではないか。

力士時代から彼のパトロンとなる男を演じる藤竜也も、脇でかなりイイ味を出してる。
リキに希望と金を見い出しながらも、結局決裂してしまうのが悲しい。
一方、最後までマネージャー的存在として力道山の傍に居続ける男(萩原)もいる。

日本プロレス界屈指のヒーローの自伝的フィクション。
内縁の妻(中谷)との悲哀ラブストーリー。
今を生きる日本人が戦後日本を振り返り、自分に問い掛ける。

様々な視点での鑑賞ができる作品。
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2006.03.26 Comment:0 | TrackBack:1
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