上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--
20051027163235.jpg


厳しい現実を前にどんな選択をするのか?

【主演】ガエル・ガルシア・ベルナウ

夢と希望、そして信仰の素晴らしさを信じていた。
でも、それは甘かった。
信仰は支えになるほど強くはないのか?
人間は弱いものなのか?
現実に直面し、臆し、僕は変わった。
自らを守るために……。



あまりにもショッキングな内容のため、本国メキシコやアメリカでは上映禁止を求める声が多く挙がった問題作。

若く美しい神父・アマロ(ガエル)は、ローマ修行の前にメキシコの小さな街の教会に赴任する。
エリートコースに乗り始め、信仰がもたらす意義を信じ、希望に胸を膨らませ、強い正義感を持ち合わせて。

若く美しい少女に出会い、好意をもつが、自分は神父、妻をもってはいけない身。
先輩神父が女性と関係している姿を目撃していることにも、激しい矛盾と憤りを感じる強い正義感と信念をもっている。
だが、貧しさにあえぐ人々のため、先輩神父はマフィアと手を組んでいた。
一方、マフィアと教会、マフィアと住人たちの繋がりを解き放とうと立ち上がり、奔走する神父の存在も知る。
... 続きを読む
スポンサーサイト
2005.10.31 Comment:0 | TrackBack:1
20051030193103.jpg


生き残った人間の生き方を問う

【監督】黒木和雄
【出演】宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

あのピカで、みんないなくなってしまった。
お父さんも学校のお友達も。
あの日、あの時に広島にいた人間なら、死んでいる方が当たり前。
私は生きていてはいけない、幸せになってはいけんのよ!



戦後3年が経つ夏の広島。
焼け跡に残った家に、図書館に勤めながら一人ひっそりと暮らす娘・美津江(宮沢)。
最近になって、彼女を心配する父・竹造(原田)が頻繁に現れるようになっていた。幽霊だ。
この設定を知って、ちょっと話に入っていきづらいかなと思いきや、そんなことは全く無い。
ほとんどが、家の中での父と娘のシーンなのだが、ちっとも飽きない!

美津江は、原爆資料を集める青年(浅野)を一目で好きになるのだが、その感情をひたすら押し殺す。
彼に想いを寄せているにも関らず、冷たく突き放すのだ。
そんな娘を「なぜ幸せになろうとしない?!」と心から案じる父。
だが彼女は、「自分だけが幸せになんてなれない、生きていてはいけないのだ」と自らの生を頑なに拒むのだ。
ちなみに浅野さん、丸黒ぶちメガネにクシャクシャ帽子で地味なんだけど、物静かで知的で、そこはかとなく漂う色気がステキだ。

... 続きを読む
2005.10.30 Comment:0 | TrackBack:1
20051030095428.jpg


みんな「自分はフツウ」と思ってる?

【監督】石井克人
【出演】佐藤貴広、坂野真弥、三浦友和、手塚理美、我修院達也、浅野忠信

オジイちゃんは、いつも家で私のことを盗み見してるの。
お母さんとオジイちゃんは、今も変わった動きを真剣にしてる。
私ね、すっごく大きな私が出てくるのがイヤなの……。
何とかならないかな~。消えて欲しいな。



のどかな田舎町に暮らす春野家。
彼等にとっては平凡で穏やかな日常が流れている。小さな悩みを抱えながら。
が、恐らく家族以外の人間が見たなら、ちょっと変わってるぞ! という家族のお話。

元アニメーターの変人・祖父(我修院)、催眠療法士の父(三浦)、アニメーター復帰に取り組む母(手塚)、転校生に片思い中の中学生・ハジメ(佐藤)、そして、時々見える大きな自分に悩む小1の幸子(坂野)。
東京で暮らす漫画家とミキサーをしている2人の叔父さん(浅野)も時々参加。

みんな可笑しいよ~。
一応、ハジメの話がメインストーリーなんだろうけど、そこまで確立され切っていなくて、みんなのエピソードがグチャグチャと絡んでくる。ふわふわ、もあもあ、まったりと。
全体でまとまってはいないように思えるけど、それがいい味出してるんだ。
チョイ役の桜井幸子のナレーションもこの雰囲気にピッタリ。



... 続きを読む
2005.10.30 Comment:0 | TrackBack:0
20051027163406.jpg


何気ない時間における絶妙ペア!

【監督】ジム・ジャームッシュ
【出演】トム・ウェイツ、イギ―・ポップ etc

吸って飲む。飲んで吸う。
嗜好品のゴールデンカップル。
それは、日々繰り広げられる様々な出来事に自然と存在している。
この11の話もそう。



コーヒーとタバコ。
紫煙をくゆらせコーヒーをすする、そんなゆるいシチュエーションもあれば、居心地の良くない微妙な雰囲気もある。
様々な人間の傍にあるコーヒー&シガレッツが、何篇も現れては消えていく。
その設定といい、結末といい、ニヤリと笑えたり、「わかる~っ!」と激しく同調したりする絶妙さ!!
11話全てに、ユーモアや人間臭さが漂っていて、ジャームッシュさすがだな! 
... 続きを読む
2005.10.30 Comment:0 | TrackBack:1



真の自由を求めて、人は闘い続ける

【監督】ジュリアン・シュナーベル
【出演】ハビエル・バルデム、オリヴィエ・マルティネス、ショーン・ペン、ジョニー・デップ

2歳の頃、僕は裸で土を食べていた。記憶にある最初の味は土だ。
大人になった僕は革命を大いに支持したのに、反革命分子と決めつけられた。
ただ小説を書きたかっただけなのに……。
刑務所でもその欲求は止められなかった。
どこへ行けば、自由はあるんだ、自由は!



革命が進むことで狂喜乱舞し、熱く燃える者もいれば、反抗勢力でもないのに迫害される人々が存在する。
芸術家、同性愛者、精神病者……、彼等の行き着く先は一体?
極貧の幼年時代、カストロに熱狂したキューバ革命、晴れやかな作家としてのデビュー、そして投獄時代。
彼は自由を求めて脱走を重ね、最後には難民に紛れてアメリカへ亡命する。
キューバの作家レイナルド・アイレス(ハビエル)。

同じキューバでも、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で描かれるようなラテンで緩やかな雰囲気とは正反対のキューバの姿。
レイナルドはカストロに熱狂し、革命軍に参加するが、やがて彼のような芸術家や同性愛者は反革命分子として弾圧されていく。
母と祖国を、そして何よりも言葉を綴ることが生きることである彼にとってはあまりにも辛すぎる現実。
そんな全編、悲劇の綴れ織りのような中、タイプライターを手に入れ、抜けるような青空の下でタイプを打つレイナルドの顔は、モノを創る人間が感じる快感、喜びに満ち満ちていて印象的だ。
だからこそ、その悲惨な境遇が見ていて辛い。

... 続きを読む
2005.10.29 Comment:0 | TrackBack:0
20051027163248.jpg


復讐の度合いは復讐者次第

【監督】パク・チャヌク
【主演】チェ・ミンシク

15年、15年だ。
誰が、何のためにこんな部屋に閉じ込めた?
いっそのこと、ひと思いに殺してくれよ……。
そうか……、殺してくれないなら方向転換するまでだ。
... 続きを読む
2005.10.28 Comment:0 | TrackBack:1
20051028132525.jpg


プロの殺し屋を知っているか?

【監督】鈴木清順
【脚本】具流八郎
【出演】宍戸錠、真理アンヌ、南原宏治

どこだ? どこだ?
どこから俺を狙っていやがる!
殺されるぐらいなら、俺がお前を殺して№1になる。
嗚呼、殺し屋なんて因果な商売だ。
今日もメシの匂いが俺を呼ぶ……。



鈴木清順の日活時代最後の作品で、モノクロ画面がスタイリッシュ!
しかし、スターシステムとして「宍戸錠の映画を作れ」って言われて、アクション得意な日活で、よくこんな斬新な作品が撮れるな。
逆に、そんな制約の多い中だからこそ、清順監督に撮られるべくして撮られた作品なのかもしれない。
今観てもかなり斬新だわ。
現代ならボカシを入れるだろう箇所には、画面にバーッと直線を走らせて修正。
これがまたイイ具合にカッコイイんだ。
ウォン・カーウァイやジャームッシュも熱狂ファンらしい。
だが、「こんな意味不明な映画を作る奴はいらん!」と日活社長の逆鱗に触れた!
結局、この作品を撮っちゃったことで、清順監督は日活をクビになるわけだ……。

... 続きを読む
2005.10.28 Comment:0 | TrackBack:0
20051027163438.jpg


権力と地位に魅せられた医者はどこへ向かう?

【監督】山本薩夫
【出演】田宮二郎、田村高廣
【原作】山崎豊子

何が何でも教授になってやる!
そのためならどんな手を使っても構わない。
オペの腕は一流だ。誰にも文句は言わせない!



言わずと知れた田宮二郎の当たり役・財前五郎を描いた劇場版。
今は、唐沢&江口の方が有名か。
「医療界にメスを入れる!」サスペンスとしての見応えバッチリ!

ドーン!! と冒頭からブラック・ジャック並みの内臓丸出しのオペシーン。
モノクロだから余計に想像力が働いて、ちょっとおののく。
大阪・浪速大学病院外科の助教授・財前(田宮)が次期教授になるべく前任教授・東派の妨害をかわしながら、選挙で遂に教授の座を射止める。
だが、院内での医療ミス疑惑に巻き込まれ……。
みんなが関西弁しゃべってて、大阪ロケも行われていた様子。
当時の中央郵便局が映っているぞ!

... 続きを読む
2005.10.27 Comment:0 | TrackBack:1
20051027131600.jpg


ただ面白いことをやるだけだ!

【監督】李相日
【出演】妻夫木聡、安藤政信
【脚本】宮藤官九郎
【原作】村上龍

「クリームば知っとるか?」「いいや」
「ツェッペリンは?」「いいや」
「じゃあ、何なら知っとるんね~っ?!」「由紀さおり」
「…………」
「由紀さおりば、ウチも好いとっと~♡」
「おばちゃんは黙っといて!!」



1969年の長崎・佐世保。
周囲の社会的騒ぎはなんのその、高校3年のケン(妻夫木)は憧れのマドンナに振り向いてもらおうと、バンドやフェスティバルの計画に夢中だった。
高校生らしいハチャメチャさで周りの友人を巻き込み、引っ張っていくケン。
転校生で「訛りのキツか男前」アダマ(安藤)が良き相棒だ。
だが、フェスティバル計画のために全共闘に巻き込まれて……。

熱く、爽快、笑える!  
スピード感ありつつ緩急メリハリがしっかりあって、最後まで飽きさせない!(オチがクドカンっぽね)
音楽はオシャレで、クリーム、ツェッペリン、奥村チヨまで使い方が洒落てるぅ~。。
タイトルバックもなかなか魅せる出来栄え。
時代は全共闘バリバリなんだけど、ケンもアダマも髪型なんかが妙に今時スタイルだし。
モミアゲなんか当時はなかっただろうに。
時代設定に完全に沿わしただけではない新感覚青春ストーリー。
クドカンと李相日という若い二人の手腕だと思われるな~。

... 続きを読む
2005.10.27 Comment:0 | TrackBack:0
20051026235248.jpg


後戻りすることなく、人生を歩む

【監督】アキ・カウリスマキ

頭がズキズキ痛むぞ……。
あ~、俺はどうしちまったんだ?
俺は誰だ? ここはどこだ?
金が無くなってる! さて、どうしたものか。



ヘルシンキの公園で野宿中に暴漢に襲われ、一切の記憶を無くした中年男。
行く当てもなく、コンテナに住む住人の町に辿り着く。
彼等も金がなく救世軍に助けられている、決して恵まれた境遇ではないのだが、男の過去を大して気にかける風でもなく、ただ1人の人間として付き合い始める。

記憶を無くしているということは、この先はどんな生き方でもできるということ。
何かに縛られること無く、何者にでもなれる無限の可能性だけが広がっているのだ。
男は、行動的に、前向きに人生を生き始める。
今より前へと、一歩足を踏み出す。今日一日を、この瞬間を。

そうしてコンテナの住人となり、人生を謳歌し始める男。
救世軍で働く女性に恋をし、恋人になった。
だが後半、彼は自らの過去と、それを知る女性と対峙することになる。
実は、喧嘩の弾みに離婚届を書き、家を出た時に襲われたのだった。
果たして妻は、離婚届を提出してしまったのか、それとも……?
だが、もはやどちらだったとしても、それは彼の後ろへ遠ざかっていく日々。
人間は後ろには戻れない。
何が起こっても、前へ進むしかないんだというメッセージ。

周囲の人々が、厳しくも温かい目線で彼を取り巻いているのが心地良い。
ザラツキがあって、でもハッとするほど色味のある画面。
映し出されるのは寒々としたフィンランドの町なのに、まるで湯気が立っているように温かなのだ!
過去をなくした男の、人生の再生と淡い恋を描いた温かな作品で、カンヌ映画祭でグランプリと主演女優賞をダブル受賞。

追記:作中で、クレイジーケンバンドが歌う「ハワイの夜」や握り寿司が出てくるなど、唐突な日本ネタが笑える!

<今日のBGM:ザ・コーラル「MAGIC AND MEDICINE」>
イッツ・クール!
2005.10.27 Comment:0 | TrackBack:0
20051026222340.jpg


人は激しい悔恨も乗り越えられる

【監督】是枝裕和
【出演】江角マキコ、内藤剛志、浅野忠信

なぜ、貴方は死んでしまったの?
息子も生まれて、つつましいけれどすごく幸せだったのに。
いくら考えてもわからない、貴方は一体何を見たの?



「誰にも言えない」の是枝監督のデビュー作で、兵庫・尼崎と石川・輪島を舞台にした宮本輝の小説の映画化。
江角マキコはドラマでしか演技を見たことが無かったけど、この作品を見てなかなかイイなと思った。
全編通して暗いトーンで描かれ、台詞も少なく、映像というより静止画のようなイメージ。
でもそれが返って、夫を亡くした妻(江角)の心情を痛々しいほど表現している。

尼崎で細々と、だが幸せに暮らす若い夫婦。
しかし、息子が生まれた直後、なぜか夫(浅野)は電車自殺をしてしまう。
なぜ夫は死んだのか?
そんな思いを捨て切れないまま、数年後、未亡人となった妻は知人の紹介で輪島の寒村に暮らす、子持ちの男(内藤)のもとへと嫁ぐ。
新たな生活に静かに溶け込み、穏やかで幸せな暮らしが訪れる。
だが妻には、振り払えない思いがいつも心の片隅に渦巻いていた。
その思いが突然噴き出し、言葉で突きつけられるので、胸がグッと詰まってしまう。

ある日、家を飛び出す妻。激しく波が打ちつける暗く寒い海辺に彼女はいた。
「あの人はなぜ死んだの!?」
夫は静かに話す。「海で死ぬ人は、幻のような光に誘われるんだそうだ」と。
「あの人も、その光を見たんでしょうか?」
このシーンが、切ないんだけど、何か気持ちのいい柔らかいものに包まれているような空気で印象的だ。

この出来事の前と後では、二人の間は何も変わらない。
けれど、何かが少し強くなったような家族。
絆というにはあまりにも陳腐な、もっと優しい何かが加わって……。
夫の死に対する彼女の長年の悔恨が溶けていったのだ。

<今日のBGM:ザ・ドラマティックス「WHATCHA SEE IS WHATCHA GET」>
都会的な軽さ

2005.10.26 Comment:0 | TrackBack:0
20051026205101.jpg


体を動かせなくなったその時は――

【監督】アレハンドロ・アメナーベル
【主演】ハビエル・バルデム

若い頃、私の周りは眩しい光でキラキラ輝いていた。
だがあの夏の日を境に変わった。
部屋から飛び出し、広い海まで自由自在に飛び回る。
ベットの上で目を閉じて。
もうダメだ……。ただ生き永らえることに幸福を見出すことができない。



尊厳死を考えたことがあるだろうか?
そんな難しいテーマを取り上げた現実の物語。
全身不随となったラモン(ハビエル)が、幸福を求めて願う死への望みと、家族や友人ら親しい人々の想い。
「生きること」の本質とは、一体何なのだろう。
そんな人間としての根源的なテーマを突きつきけてくる。
生と死、幸せと空しさ、愛と悲しみ……。

空想の中で、ベットを下り、愛する女性が歩く近くの海辺まで空を飛ぶ。
リアルで壮大、魅力的で美しい場面なんだけど、それが現実ではないことが最初からわかっている分、悲しさが漂う。
彼にとっては唯一楽しいと思えたその行為さえ、もはや本人の慰めにも生きる力にもならないなら、生きていることは絶望しかないのだ。

ハビエルはラモンの心情を首から上だけの動きや表情で見事に体現。
ラモンの嫌な面も織り込まれていたり、周囲の人々のそれぞれの思いが丁寧に描かれていたりするので、単に美しい感動ストーリーとは言えないところが逆に好感。

結局、人間は死ぬまで1人で生きていく生き物だ。
そして、自ら死を選ぼうと考えることのできる唯一の生き物なのかもしれない。

追記:ハビエル・バルデムは『夜になるまえに』がオススメ!

<今日のBGM:ラヴェル「ボレロ」>
単調かつ昂揚の素晴らしさ!


2005.10.26 Comment:0 | TrackBack:0
20051026205135.jpg


熱く、燃えるような青春を過ごしたか?

【監督】金守珍 
【出演】山本太郎、ユー・ヒュンギョン
【原作】梁石日

毎日を熱く駆け抜ける!
生き抜くために、愛する人のために。
明日も廃墟からスクラップを山ほど盗み出したるわ!
体を張って、命を賭けて。
それが俺等の生き方や!



初めてだ。映画館へ2回も足を運んだ作品は。
しかも、邦画! もう嬉しくて仕方が無い。
こんな映画、いや、小説も含めてこんな作品に出会えたことが。
 
舞台監督で初映画監督のためか、全編通してぶつ切りのシーン転換が気になるが、それを十二分に覆うほどの、生のパワーとエネルギッシュな魅力に溢れている。
映画化は難しいと思われる程、原作には壮大なロマンと、到底、現代では味わうことのできない荒唐無稽さ、そしてユーモラスが溢れていた。
それを映画ならではの「肉体」で表現した青春グラフティ。

戦後の焼跡残る大阪で、立ち入り禁止の兵器工場跡に忍び込み、
鉄屑を盗んでは売り飛ばすタフな男たち。その名は「アパッチ」。
川沿いの集落で貧しい生活を送る在日朝鮮人たちの痛快サバイバルストーリーだ。

私の直感は間違ってはいなかった。
山本太郎を始めとした魅力的な役者たちの出演を知り、この映画は小説の魅力を体現することが可能ではないかという直感。
シリアスで静かな演技が多い今、この役者たちが見せる演技はオーバーアクションとも取れる。
だが、誰一人として脇役はいない。
金義夫(山本)を中心に、スクリーンの中央で、そして群集の片隅で、誰もがキラリと光っている。
小説は、先が読めない、そしていつまでも読み続けたいと思うほどのピカレスクロマンに覆われていた。
映画:ビジュアルでは、役者たちの肉体と表情から凄まじいまでのパワーを感じられる。
目の前にあるスクリーンがビリビリと振るえているようだった。
体の細胞と血管が疼くようなたまらない感覚は、映像だからこそ感じ得たものだろう。
自分も生きたい、彼等のように一瞬一瞬を熱く、そう思わずにはいられなかった。

熱くなることがかっこ悪い「ゆるい」今の社会には浮いた感もあるだろう。
毎日を駆け抜けた彼等のように、一瞬、その一秒を、明日をも投げ打って生きることは、今や不可能なのかもしれない。
だが、この時代に生まれたかった、そして、誤解を恐れずに言えばこう感じた。
「彼等のような境遇が私にあれば。今の自分でない立場と環境に生まれていれば」と。
この人生を振り向くことなく駆け抜けたい。そう猛烈に思った。

<今日のBGM:スティービー・ワンダー「INNERVISIONS」>
!!!
2005.10.26 Comment:0 | TrackBack:0
いつになったら自由になれるんや!

【監督】千野皓司
【出演】フランキー堺、朝丘雪路
【原作】野坂昭如

一体全体どういうこっちゃ?
ワシらは今でも戦争に縛られとる!
誰の責任なんや?!
クソ~ッ、ワシは滅茶苦茶やったるからな!



レンタルではなく文化庁芸術祭にて鑑賞。
大阪を舞台にした映画祭で、本当は犬堂一心監督「ジョゼと虎と魚たち」か松坂慶子&真田広之の「道頓堀川」が本命やったのに……。

ところが、これが意外と面白い!
戦後の大阪(製作は1969年)、ペテン師どもが宗教サギをしたり、時の大臣を騙したりと大博打のペテンで人々を巻き込むドタバタ喜劇。
けれど、単なる喜劇映画ではないんだな。
「戦争」に対する風刺がピリッと利いていて、「社会派ドラマを喜劇でラッピング」した雰囲気。

役所が手を抜いて処理しなかった不発弾の爆発によって、初恋女性の子供が死んでしまう。
男(フランキー堺)は役所に怒鳴り込み、放水して大暴れするが、フラストレーションは高まるばかり。
戦争は終わったというのに、その爪痕にまで未だに縛られていると痛感するのだ。
さらにペテンを重ね、飛行機で空から札束をばら撒き、大笑いする男。
「俺が変えたる」「無茶苦茶やったるわ」そんな声が聞こえてきそうだ。

今は亡きフランキー堺さん。
コメディは言うことなしだけど、シリアスも味があるな~。

<今日のBGM:ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」>
軽やか~っ
2005.10.26 Comment:0 | TrackBack:0
20051026124545.jpg


彼は出会い、そして覚醒した

【監督】ウォーター・サレス
【主演】ガエル・ガルシア・ベルナウ

「彼の一番素晴らしいところは、誰もを愛せる心を持っているところよ」
南米を駆け巡り、そして思った。
あの旅が、僕の革命家としての萌芽だった。



「アルゼンチンのヒーローは?」「マラドーナとゲバラ」
そのゲバラ(ガエル)の青年時代を描く、簡単に言えば、無鉄砲な若者2人が南米大陸をバイクで旅するロードムービー。
だが、その中で様々な民族や状況の人々と出会い、彼は緩やかに覚醒していく。
ごく普通の優しいハンサムな若者が、生来の正義感を徐々に目覚めさせ、自らの思いを形にしていく様子がよくわかる。
ゲバラがゲバラたる過程は、こういう感じだったのだろう。

「国は違えど、南米に暮らす人々は1つの同じ民族」
そう確信し、苦しむ彼らの手助けをしたいと願い始める。
見たことのない世界を目の当たりにして、その欲求は急速に膨らんでいっただろう。
そしてそれは、ボランティアなどではなく、自らが先頭に立ち、国そのものを変えていく行為へと繋がる。母国以外の国をも……。

世界中の人に、写真や映像などで逞しいゲバラ本人の容姿が知れているので、演技力は問題ないが小柄なガエルが演じるとどうか? と思っていたが、そんなことは一切問題なし!
笑い、戸惑い、悲しみ、模索する青年ゲバラを瑞々しく表現していて素敵。
真っ直ぐで純粋な若き日の革命家だ。
美しい南米の風景も見所。

マラドーナとゲバラ。アルゼンチン国民だけでなく、世界から愛される男。
それは、愛される男と「愛する男」なのかもしれない。

追記:2人が乗るのがサイドカー付けたトライアンフなんだけど、フォルムが美しい!

<今日のBGM:ダニー・ハザウェイ「LIVE」>
もう何回聴いてもカッコいい!
2005.10.26 Comment:1 | TrackBack:1
20051026111047.jpg


摩訶不思議な世界に迷った先には?

【監督】鈴木清順
【出演】原田芳雄、藤田敏八、大谷直子、大楠道代

夢か現か。
あの女は誰だ? あの男は?
極彩色の美の中で、全てが狂う。



大好きな「清順美学」爆裂の作品。圧倒、倒錯。
生と死、この世とあの世、現実と幻……、次々とその世界が行き来し、通常の感覚で見ると訳のわかんない場面転換が繰り返される。
何が何だかわからないが、引き込まれる力にも逆らえない。
フレーミング、衣装や小物、セットの隅々にまで徹底的にこだわったビジュアル。好きだな~♪

何をしでかすかわからない男(原田)と、真面目でまっとうな人生を送る男(藤田)。
相反する2人の男に女2人(大谷&大楠)が加わり、観る者を摩訶不思議な世界をいざなう。
生きることはリアルであり、一瞬で消える夢。
そして、生身の肉体を持つことであり、実はそれは虚構なのかも……。
それすらまともに考えられなくなる程、頭の中をグチャグチャに掻き混ぜられ、意味不明な魅力に逆らえない。あ~、面白い!! 

大谷直子が小悪魔的にかわいく、大楠道代は妖艶。
2人共、原田演じる怪しく奇怪、危険で美しい色気を放つ男に惹かれていく。
そんな中、藤田は夢先案内人のような立場か?

クルクル変わる場面に、これが人間によって作られた映画という創作物ということを忘れてしまう摩訶不思議な清順ワールド。
混乱、迷い、交錯……、一体この人の頭の中はどうなってるんだ?!

<今日のBGM:リトル・バーリー「リトル・バーリー」>
これからが楽しみだ
2005.10.26 Comment:0 | TrackBack:0
宿命に逆らうことは人間らしさに繋がるか?

【監督】ウォルター・サレス
【主演】ロドリゴ・サントロ

兄さんはあの一家に殺された。
シャツを染めた真っ赤な血が黄色に変わったら、
今度は僕があの家の誰か1人を殺すことになる。
そうして先祖代々、僕達は土地を守ろうと戦い続けてきた。
これからも……。



南米に実在したという壮絶ストーリー。
2つの家族はとり憑かれたかのように殺し合いをやめない。
守れるものは「家族しか認めない名誉」だけとはわかっていながら、貧しい暮らしを送る父親も母親も、それを捨てる勇気がないのだ。その先には、何も残らないと恐れている。
これって、フツウの人間にはアホらしく思える。
貧しさと苦しさにまみれ、殺し合うことでしか名誉と土地を守れなくなった人間にならないと正直、わからん。
そうして思考停止しようとするのだが、人間の業の深さがひたひたと忍び寄り、「悲しいけど、それが人間なのかも」と思ってしまう。

恋も青春も知らず、町から一歩も出たことのない青年は、死の可能性を前にしてようやくフツウに在るはずの人生を少しだけ歩んでみる。
だが決して、自分たちが紡いできた運命からは飛び出そうとしない。
美しい思い出をサーカスの娘と作り、死者の使者となるべく家に戻ってくるのだ……。

ただただ淡々と描かれる展開が麻痺させる、危機感や悲壮感。
「もう止めたい!」という想いがありながらも、兄や、自分の身代わりとなって弟を殺された彼の憎しみは消えない。
しかし、その後に残るものは、激しい外の世界への渇望! 
怒涛の荒波が打ち寄せる遠い海辺に辿り着いた瞬間、彼が感じたものとは何か?
大きな開放感? それとも外界も変わらず荒れ狂っているという絶望?
表情筋を余り動かすことの無い彼の表情は、あまりにもその感情を読みづらく、胸がかきむしられる!

<今日のBGM:ザ・ソウル・チルドレン「GENESIS+1」>
沁みる~っ!
2005.10.24 Comment:0 | TrackBack:0
ドッペルゲンガー


もう1人の自分に会う時、それは死ぬ時か?


【監督】黒沢清
【出演】役所広司、永作博美、ユースケ・サンタマリア

「出会ったら死ぬ」とされている自らの分身ドッペルゲンガー。
スランプに陥っていた私は“私”を見てしまった。
彼の気質は私とは正反対。いい加減でチャラチャラしていて、欲望のままに生きている。人を騙し、犯罪に手を染め、あの人まで襲おうと……。
けれど、私の希望を次々と叶えてくれた――。



ホラーの器に入れられた人間劇。ラストが読みやすいのが気になるが、それでも清々しい。
柄本明やユースケら脇役もシニカルで俗っぽく、笑えるシーンも結構あり。黒沢監督、やっぱり好きだな~♪

勤め人で天才発明家(役所)とその分身。
同じ顔をした嫌な奴、それは、彼が押し殺し、我慢していた在るがままの姿、誰しも抱える人には決して見せたくないもう1人の「自分」だった。
そんな姿をリアルに人間として見せられた時には、嫌で嫌で堪らないだろう。
人間誰だって二面性がある。それが自分でわかっていたら、なおさらだ。
ピュアで、裏と表のない人間もいるかもしれない。でも私には、そんなヤツは人間らしさが感じられず、妖精のようなファンタジーにしか映らないな。
で、やっぱり嫌な奴でも、私は分身の方に親近感。ま~、犯罪や騙しはともかく、自分もあそこまでさらけ出せたら気持ちいいだろうなと思ったな。

彼もそう感じたかはわからないが、時間経過と共に、彼と分身の2ショット描写が変わっていくのが面白い。2人の距離感が縮まっていく様子がよくわかる!
最初、分身の姿は背中だけ、その後は分割画面で対峙、最後には合成で完全に同じ画面に映り込む。
結局、分身を嫌悪しながら、どこかで会い通じるものがあったのかもしれない。だって同じ「自分」だもん。
そのままの展開なら、彼と分身は一体になり、元の1人に戻るだろう。
だが、彼は分身を殺す。けれど分身は消えない。あの見たくない分身の姿は昇華され、彼の内に残っていくのだ。

<今日のBGM:ベートーベン交響曲第3番「英雄」>
ええなぁ、ベートーベンは♪
2005.10.23 Comment:0 | TrackBack:1
映画に関するものを中心に、これまで書き溜めてきた文章を、ブログという形式で保存できたらと開設。
リタッチを入れながらなので、ぼちぼち進めていこう!
2005.10.23 Comment:0 | TrackBack:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。